NPO代表殺害、「信念の人」無念の死悼む


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上江田さんのお骨を抱く家族を乗せた車を見送る参列者=12日午後5時16分、沖縄市倉敷の沖縄葬斎場

 約30年にわたり不登校やニートの若者の就学、就労に情熱を注いだ上江田静江さん。沖縄市倉敷の沖縄葬斎場で12日執り行われた告別式には約2千人が参列した。葬儀終了予定の午後4時を過ぎても車列は途切れず、約2・5キロ離れた市登川まで続いた。

悲しくやりきれない別れに、参列した施設利用者や保護者、更生保護関係者らは、止めどなく流れる涙をハンカチで拭っていた。11日、事件現場に指紋を残していた少年(18)が別の窃盗事件で逮捕されたが、参列者からは「早く解決してほしい」などの声が上がった。
 告別式は一般焼香が始まる前から、300人を超える参列者が並んだため、予定を早めて焼香が始まった。制服姿の中学生や20代のグループなど若い世代も目立ち、上江田さんの功績を印象づけた。
 祭壇には明るい灰色のジャケットを着て、はつらつとした笑顔を見せる上江田さんの遺影が掲げられた。告別式の冒頭、あいさつに立った喪主で長女の詩乃さんは「母は素直で明るく、朗らかで芯の通った人。信念を持って仕事に励み、やりがいを感じていたとよく語っていた。このようなお見送りを頂き、母もさぞ喜んでいると思う。ありがとうございました」と涙ながらに感謝した。
 祭壇前には「自他を愛し、周りに感謝、希望を持って社会人になる」と毛筆でしたためた上江田さんの教育理念が掲げられ、会場内には上江田さんが好んだフジコ・ヘミングが弾くピアノのBGMが流された。至る所からすすり泣きが聞こえ、あふれ出る涙を両手で押さえる人もいた。
 若い教え子たちは焼香を終えても別れを惜しむように式場周辺にたたずんでいた。午後5時16分にお骨を抱いた家族が式場から出ると、参列者は涙を浮かべて合掌。すすり泣きとともに「残念」「悔しい」という声が薄曇りの空に響いた。