歌と芝居に共感の笑い EPO


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 沖縄在住のシンガーソングライター・EPOや俳優が共演した舞台「Theatrical Live The petit four(シアトリカルライブ プチフール)」が11日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールであった。

昨年に続いて2回目。生演奏に合わせたEPOの歌と歌詞、曲の合間に舞台で繰り広げられる芝居が見事に合わさり、「当たり前だが尊いもの」をメッセージに織り込んだ。誰もが共感できる「うちあたいエンターテインメント」は笑いにあふれながらも、時にほろりと、時に考えさせられる内容の芝居で、会場は優しい雰囲気に包まれた。
 出演は犬養憲子(演劇きかく『満福中枢』)、川満聡、当山彰一(劇艶おとな団)、宮川雅彦。演奏は笹子重治(ギター)、江藤有希(バイオリン)、黒川紗恵子(クラリネット)で構成するユニット「コーコーヤ」。宮川が構成・演出を担当した。
 舞台が始まり、コーコーヤの爽やかで軽快な曲が流れたと思えば、一転して悲しげな曲が響いた。演奏後にEPOが登場し、舞台中央のステージに上がると「私について」をしっとりと歌った。
 その後、仕事を押し付けられながらも断れない女性などのエピソードが繰り広げられた後、EPOがそのエピソードにマッチした言葉を紡ぎ、歌う。家族と離れて暮らす女性と両親が電話で話すシーン。女性の母親を演じた川満の演技が笑いを誘ったと思えば、EPOが自分の大切さを歌った「たったひとつの」を透明感のある声で歌った。
 「普段は忙しくて分からないが、家族や自分自身など、大切にすべきものを少し立ち止まって振り返る」―。日常の騒々しさに追われ、忘れがちな大切なメッセージをEPO独特の優しく、癒やしの歌声に込めた。アンコールで披露されたアルコール飲料のCMソングにも使用された「だんらん♪」は出演者、観客も含めた全員で手を左右に振り、楽しげに歌い、フィナーレを迎えた。(大城徹郎)

コーコーヤ(後方)の演奏に合わせ、独特の優しい柔らかな歌声を響かせるEPO=11日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール
笑いや、時にほろりとさせる演技で会場を沸かせる(左から)犬養憲子、当山彰一、川満聡、宮川雅彦