がん闘病経験 相談に生かす 3看護師、患者寄り添う


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ピアサポーターとして、がん患者とその家族からの相談に当たっている上原弘美さん(右)と中山富美さん=14日、西原町の琉球大学医学部付属病院内の県地域統括相談支援センター

 がんの不安や悩みに耳を傾けるピアサポーターとして、闘病経験があり看護師でもある3人が琉大付属病院内の県地域統括相談支援センターで活動している。上原弘美さん(48)、中山富美さん(47)、仲田ひろ子さん(47)が週3回の相談日に、交代でセンターに常駐している。

上原さんは「がんの種別も闘病体験も異なる3人だからこそ、さまざまな相談に対応できる。闘病経験を相談に生かしたい」と抱負を話した。
 センターは同病院内3階のがんセンター内に設けられ、2011年度に業務を始めた。不安や悩みを聞いて患者に寄り添うピアサポートのほか、がんピアサポーターの人材育成、小児がん患者会の支援、希少がんの情報を提供してきた。入院患者だけではなく、別の医療機関で治療を受けている人や家族の相談にも応じている。
 3月までは上原さん1人が常時勤務し、月―金曜日まで相談に当たってきた。4月以降は相談日を火、水、金曜日の週3日に変更し、3人の輪番態勢に移行した。
 中山さんは左の腸骨に骨肉腫を患い11年前に手術を受けた。長期入院が必要になったため、仕事との両立が難しく退職した。闘病時に再婚し、8年前には次男を出産した。「闘病中は、つらい気持ちを周囲に言えず一人で抱えていた。当時の経験を生かせたら。人生に意義があると思えるかもしれない」と穏やかな表情で話した。
 仲田さんは約8年前に病院勤務していたころ、定期検診で乳がんが見つかり、手術に踏み切った。職場には昼勤務中心にシフトを調整してもらい、手術前は働きながら抗がん剤治療を続けた。術後の3カ月間は休職し、気持ちも落ち込んだが、復職後は「仕事をしていることで、誰かの役に立っているという気持ちが湧き起こった」と振り返る。
 上原さんは「看護師でもがんにはかかるが、職業柄、悩みを公にできない人も多い。それでも自分のケアをやりつつ、苦しみを乗り越えたからこそ他の人のケアができる。与えられた役割があると思う」と力を込めた。
 相談時間は火、金曜日が午後1時~5時、水曜日は午前10時~午後5時。来所は電話予約が必要。電話相談も受け付けている。連絡先は(電話)098(942)3407。