ビリーの歌への思いがカサンドラのボーカルに重なる
今年フランク・シナトラ、エディット・ピアフらと共にもう1人偉大なシンガーが生誕100周年をむかえました。1915年4月に生まれたビリー・ホリデイはジャズ史上最高のシンガーとして、以降出現した全てのジャズ・シンガーに少なからず影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。
2度のグラミー賞に輝いたカサンドラ・ウィルソンもその1人「ビリーの歌を聴いた瞬間から虜になり、以来彼女が私のインスピレーションの源になった」と語っています。そのインスピレーションはシンガーとしての表現方法なのだと思います。
ビリーは歌の思いを伝えるためにメロディーまでも変化させて歌います。オリジナルのメロディーを軽視するのではなく、相互の作用でより深い感動の作品にするのです。同じ考えに立脚したカサンドラのこのトリビュート・アルバムは正解と言えます。数え切れないビリーのセッションから選ばれたここでの収録曲はビリーを象徴する曲として完璧です。
(ソニーミュージック・2500円+税)=北澤孝
(共同通信)
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北澤孝のプロフィル
きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。
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