技の緻密さ解明 やちむん、OIST研究員が分析


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「やちむんの伝統技術の素晴らしさが記録できた」と話す佐二木健一研究員=4月30日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の佐二木(さじき)健一研究員(40)=生物学=がこのほど、数千年の歴史があるとされる沖縄の焼き物(やちむん)の伝統技術の緻密さを、原料配合の成分分析などで科学的に裏付ける研究をまとめた。

佐二木さんは「やちむんの技術は科学的にも非常に理にかなっている。英知が詰まった素晴らしい伝統技術だ」と話しており、研究成果を今後の技術継承や保存に役立てたい考えだ。
 やちむんの強度や発色を高めるための技術は、これまで主に作り手の経験と感覚で伝承されてきた。佐二木さんは県内最大の登り窯である読谷山焼「北窯」の親方(工房主)4人の協力を得て1~4月に実験。原料の土や、光沢や色味を与える釉薬(ゆうやく)などを分析した。
 土は北窯で使われる6種類の土が配合された「標準土」を分析。原料の土それぞれが持つ耐火性や粘りなどの特徴をケイ素やアルミニウムなど元素成分の割合から調べた結果、原料土の特徴を生かして焼き物に最適な標準土がつくられていることなどを解明した。
 釉薬は成分を分析し、発色に最適な温度を調べた。伝統技術では窯内部で焼き上げる際、釉薬ごとに火元との距離を調整し、美しく色を出す方法が伝承されている。北窯の松田米司さん(60)は「伝統技術を書き残す画期的な研究。新たな切り口で焼き物を見ることができ感動した」と述べた。
 研究結果や北窯の作品は18日から7月末まで、恩納村のOISTキャンパスで展示する。入場無料。問い合わせは(電話)098(966)2184。(長浜良起)