管制指示聞き違い原因 12年、中国東方機の滑走路誤進入


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 那覇空港で2012年7月、中国東方航空機が滑走路に誤って入り、最終進入中だったエアアジア機が着陸をやり直したトラブルについて、運輸安全委員会は28日、報告書を公表した。管制官の「滑走路手前で待て」という指示を中国機が「滑走路で待て」と聞き間違い、管制官は正しく理解されていると思い込んだのが原因とした。

 中国東方航空の上海行きエアバスA319は7月5日午後1時25分ごろ、管制官の許可なく滑走路に進入。管制官は空港の北約5キロに近づいていたエアアジアのエアバスA320に着陸をやり直すよう指示した。
 報告書によると、管制官はエアアジア機の着陸を優先させるため、駐機場から離陸のため移動していた中国機に滑走路手前で待つよう英語で指示した。しかしパイロットは聞き間違い、そのまま滑走路に入った。
 当時、管制官はヘッドセットを正しく耳に着用せず、手に持ってスピーカーから音声を聞いて通信していた。安全委は「マイクに当たった息で起きた雑音のため、聞き違いが起きた可能性がある」と指摘。
 さらに中国機からの復唱は不明瞭だったが、管制官は別の航空機からの交信が重なったため内容は正しいと思い込んだことも、トラブルに関係しているとした。
 中国機は乗客乗員計27人が搭乗、エアアジア機は試験飛行のため乗務員ら計38人が乗り込んでいたが、いずれもけが人はなかった。
 那覇空港事務所は「今後再発しないよう努める」と説明した。