縄文文化、今に再現 北谷町、伊礼原遺跡を活用


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 【北谷】北谷町(野国昌春町長)は、縄文時代前期約7千年前の土器や石器、動物の骨や貝の製品が多数出土した国指定史跡「伊礼原遺跡」を活用して、縄文当時の自然環境や住居を再現した史跡公園を整備する。

隣接して遺物を展示、収蔵する北谷町立博物館(仮称)も建設する。総事業費は16億円前後、総敷地面積は約2万3千平方メートルで2019年度の開館を目指して作業を進める。
 伊礼原遺跡は約7千年前から集落が形成された県内唯一、国内でも珍しい遺跡として10年に国指定史跡に認定された。
 北谷町の史跡伊礼原遺跡整備基本計画では、約1万7千平方メートルある遺跡敷地を五つの地域に区分した。縄文時代の人々が暮らした竪穴式住居跡などを復元して体験学習の場を設ける。
 縄文の森地区ではイタジイやガジュマルを植栽して当時の里山の環境を再現。低湿地環境地区は湧き水のウーチヌカーやザルで作った貯蔵穴を復元する。海岸をイメージした海進地区、砂丘や芝生の広場や住居跡地も設ける。
 博物館の敷地面積は約6千平方メートル、建築面積は1800平方メートルになる。遺物の常設展示や収蔵のほか、体験学習の機能も備えた観光資源や町民交流の場としても活用する。計画では体験活動の例として、史跡公園と連動した宿泊縄文人体験や遺跡でのキャンプ、縄文時代の道具作りや食体験などを例示した。
 事業費は博物館が10億円、史跡公園が6億円前後を想定する。本年度の基本設計、実施設計を経て17年度に工事着工、18年度の完成を目指す。
 野国町長は「国内でも一級品の遺跡が残る。縄文当時の生活を学び、町の伝統・文化の掘り起こしに役立つ博物館と遺跡を整備したい」と話している。(宮城征彦)

国指定史跡「伊礼原遺跡」の整備をイメージした模型。右奥に北谷町立博物館(仮称)を建設する予定
北谷町立博物館(仮称)の完成イメージ図