遺族「生きた証しできた」 平和の礎追加刻銘87人の石版設置


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兄の名前が刻まれた石版の前で手を合わせる浦崎永徳さん(写真手前)と敏子さん=10日、糸満市摩文仁の平和の礎

 【糸満】主に沖縄戦で亡くなった戦没者の名前を刻んだ糸満市摩文仁の「平和の礎」で10日午前、2015年度に追加刻銘が確定した87人(県内33人、県外54人)の名前を刻んだ石板の取り付け作業が行われた。新刻銘者の遺族も訪れ、石版に刻まれた家族の名前を確認し、花を手向けた。追加分を含めると、刻銘者は24万1336人となった。

 強い日差しが照り付ける中、作業員たちは石版を傷付けないように慎重に作業に取り組んだ。兵隊として赴任したラバウルで足を負傷し、戦後に大阪で結核と栄養失調で亡くなった浦崎永信さん(那覇市古波蔵)の名も新たに刻銘された。
 永信さんの名前を確認しようと、弟の永徳さん(79)と妹の敏子さん(75)が平和の礎を訪れ、兄の名が刻まれた石版の前で手を合わせた。
 敏子さんは「家族の手元には兄の写真1枚も残っていない。刻銘されたことで兄が生きた証ができた」と喜んだ。
 刻銘は遺族からの申請に基づき、刻銘の基本方針に沿って決定される。外国人の追加刻銘者はいなかった。【琉球新報電子版】