地域に無料「寺子屋」 ワンネスの会、一人親世帯の子支援


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 【うるま】経済的事情で学習塾に通えない子どもを支援するため、地域住民のボランティアによる手作りの無料学習塾が話題を呼んでいる。うるま市赤道区で活動するのは「ワンネスの会 虹の寺子屋」(山城幸江代表)だ。江戸時代の庶民の教育施設だった“寺子屋”のように、地域で支えるアットホームな学習支援を心掛けている。

 生活保護世帯の子どもを対象にした行政による学習支援は多いが、ワンネスの会では、生活保護の一歩手前で行政の支援が薄い準要保護世帯や一人親世帯の子どもたちを支援している。
 山城さんは「貧しくても行政の支援が受けられない世帯、子どもがたくさんいる。学習支援を通して子どもたちを応援することで、貧困の負の連鎖を解決したい」と意気込む。
 同会は昨年7月から赤道公民館で、高校受験を控えた中学3年生を対象に週2日の夕方、1日3時間程度の学習支援を行っている。地域の元教師や父母、大学生が講師を務め、市販の問題集を活用して子どもの習熟度に合わせた指導をする。
 第1期となる昨年の登録児童数は20人で、毎回平均して15人前後の児童が参加した。同塾に通う生徒の大半は一人親世帯で、仕事や子育てで夜も忙しい親も多く、塾では休憩時間におにぎりやパンなど軽食を提供している。
 やんちゃな不良少年や不登校生も参加したが、山城さんは「最初はあいさつや会話もできない子どもが、けがや体調を崩しても真面目に通って勉強するようになった」と目を細める。
 昨年は生徒20人中17人が高校に合格して新たな環境で頑張っている。山城さんは「勉強を教えるだけでなく、親身に話を聞いて一緒に遊んだり、笑ったりする大人がそばにいるだけで、子どもは成長する。子どもの大切な居場所をつくりたい」と笑顔で話す。
 ワンネスの会は受講生を募集している。本年度は今月22日から授業を開始する。授業は毎週火・金の午後7時~9時まで。対象は赤道在住で一人親世帯の中学3年生。同会ではボランティアの講師や活動資金の支援も求めている。問い合わせは山城代表(電話)090(1179)2455。
(宮城征彦)

無料学習塾を運営する「ワンネスの会 虹の寺子屋」の山城幸江代表(中央)とスタッフの目黒綾子さん(右)、山岸秀美さん(左)=3日、うるま市の赤道公民館
「ワンネスの会 虹の寺子屋」の無料学習塾に通う子どもたち。ボランティア講師(右側)が勉強を教える=2014年12月ごろ、赤道公民館