悪徳商法 未然に防ぐ NPO法人消費者市民ネットおきなわ


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適格消費者団体の認定に向けて準備を進めるNPO法人消費者市民ネットおきなわの三宅俊司理事長(左)と県生活協同組合連合会の宮城調俊代表理事=那覇市

 弁護士や消費生活相談員、消費者らでつくるNPO法人消費者市民ネットおきなわ(三宅俊司理事長)は、悪徳商法など不当な契約行為を差し止め請求できる「適格消費者団体」の認定を目指し準備している。

全国に12団体あるが、県内にはまだない。弁護士の三宅理事長は「これまでの制度は被害者本人による損害賠償が前提で、新たな被害を食い止めることができなかった。適格消費者団体になれば被害の未然防止、拡大防止ができる」と意義を強調している。
 適格消費者団体は2007年に導入された「消費者団体訴訟制度」によるもので、条件を満たした消費者団体を政府が認定する。同NPOは10月に予備申請して、12月ごろに本申請を予定。早ければ年度内に認定される見込みだ。
 消費者市民ネットおきなわは06年12月に立ち上げ。認定の取得に向けて勉強会を重ねてきた。司法書士や大学教員らも会員で、事務局は県生活協同組合連合会が務める。申請条件でもある活動実績として、すでに3件の不当行為に是正要請を実施。うち1件が改善された。
 三宅理事長は「現状では、悪徳商法があっても被害の広がりを止めることはできない。業者が倒産すると、残った被害は回収できなかった」とこれまでの課題を説明した。その上で「今後は被害が小さい段階で、差し止めることができる」と強調した。
 県生活協同組合連合会の宮城調俊代表理事は「アパートの敷金や専門学校の授業料の返還問題など、気付かずに法律違反となっていることもある。消費者の権利を守る立場で問題を是正していきたい」と話した。