「生存権侵害歯止めを」 弁護士ら組織結成


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憲法25条で保障された生存権の侵害を食い止めようと立ち上がった「沖縄憲法25条を守るネットワーク」の役員ら=27日、那覇市職員厚生会館

 国による生活保護基準引き下げに反対し憲法25条がうたう生存権の保障が実現される社会を目指そうと、貧困や雇用問題に取り組む団体や弁護士、大学教授らが27日、「沖縄憲法25条を守るネットワーク」を立ち上げた。基準引き下げに反対し県内で起こされた訴訟を支援するほか、加入者で協力し受給者の生活実態を把握するなどの活動をする。全国の生存権裁判を支援する運動と連帯する。

 総会で琉大教授(社会保障法)の高田清恵さんが会長に就任した。副会長には沖縄生活と健康を守る連合会会長の仲西常雄さんと、沖縄医療生活協同組合副理事長の大城郁男さんが就任した。生活保護受給者の70代女性が窮状を訴えた。
 高田会長は就任あいさつで「これまで奮闘してきた多くの個人や団体と一つのネットワークをつくる意義は大きい。生存権侵害の実態を共有することから始めたい。みんなで知恵を絞り、手をつなぐことが25条を守る大きな力につながる」と述べた。
 設立を記念し、花園大学教授で全国公的扶助研究会会長の吉永純さんが講演した。吉永さんは、厚生労働省が説明した生活保護基準の引き下げ理由には問題があり「引き下げには理由がないのは明らかだ」とした。
 基準は非課税限度額の査定や保育料、最低賃金の金額など少なくとも38分野に影響するとし「それらが下がれば私たちの生活が地盤沈下する。生活保護基準は受給者だけでなく私たちの問題だと強調したい」とした。年会費は個人1口500円、団体2千円から入会できる。問い合わせは(電話)098(951)0250。