ダイオキシン、基準値の2.1万倍 沖縄市のドラム缶


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検出された有害物質の最高値

 【沖縄】米軍基地返還跡地の沖縄市サッカー場から汚染物質を含むドラム缶が発見された問題で、沖縄防衛局(井上一徳局長)は29日、缶のたまり水(未ろ過水)から、水質環境基準値の2万1千倍のダイオキシン類を検出したと発表した。

ドラム缶付着物の全17検体の全てからダイオキシン類を検出。缶の付着物からは、発がん性が指摘されるジクロロメタンが環境基準値の45万5千倍の高濃度で検出された。
 ドラム缶は2月に発見された計17本。たまり水は地下3~5メートルの地点で2検体採取し、未ろ過水からは水質環境基準値の2万1千倍、1万4千倍のダイオキシン類が検出された。ろ過後は基準値の29倍、150倍まで数値が下がった。
 沖縄防衛局の重政武輝返還対策課長は「缶や底面土壌、たまり水は全て回収した。県の地下水調査や周辺河川、河口の底質調査でも基準値の超過はない。周辺に影響を及ぼす可能性はない」と話した。
 ダイオキシン類以外の有害物質も調査した缶の付着物全16検体にはヒ素やフッ素が含有していた。PCB(ポリ塩化ビフェニール)は8検体から検出され、最高含有量は1キログラム当たり1・9ミリグラム。PCP(ペンタクロロフェノール)は15検体で検出され、最高は同180ミリグラムだった。油分は全検体から検出され、最高は同43万ミリグラムあった。缶付着部やたまり水から枯れ葉剤の主要成分となる「2・4―D」、「2・4・5―T」が検出された。ダイオキシン類と枯れ葉剤を研究する本田克久愛媛大学教授は「枯れ葉剤を含む複合汚染の可能性がある」と指摘する。