陸自石垣配備に反対 尖閣遭難者遺族会、慰霊祭で表明


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 【石垣】尖閣列島戦時遭難者遺族会の慶田城用武会長は3日、防衛省が計画する石垣島への陸上自衛隊配備や国会で議論される安全保障法案について「遺族会は反対する」と表明した。

遺族会として自衛隊配備問題に公の場で言及するのは初めて。この日、石垣市新川で開かれた同遭難者慰霊祭のあいさつで述べた。
 中山義隆市長が出席し「市長のリーダーシップで平和な石垣市となるようお願いする」と自衛隊配備を許さないよう求めた。
 慶田城会長はこれまでも慰霊祭で南西諸島の防衛力強化を図ろうとする政府に懸念を示し続けてきたが、5月に防衛省が中山市長に陸自配備へ調査を要請したことを受け、危機感から踏み込んで思いを発信した。
 あいさつでは南西諸島の防衛力強化を目指す政府に「戦時体制の構築を図っている」と厳しく批判し「石垣島が捨て石や軍事標的になることは絶対に避けなければならない」と訴えた。 慶田城会長は取材に「遺族会は戦争につながる事柄について反対すると決めている」と強調し「領有権は武力でなく対話で平和的外交によって解決されるよう石垣市は主体的に取り組むべきだ。自衛隊は必要ない」と話した。一方、市議会が戦時中に尖閣諸島付近で遭難した住民の遺骨収集を求めているが、慶田城会長は「(尖閣に)遺骨はない。遺族会は遺骨収集はしない」とあいさつで述べた。

戦時中に尖閣諸島に遭難し犠牲となった住民の冥福を祈る関係者ら=3日、石垣市新川
慶田城用武会長