バケツの水で川の魚種ピタリ 美ら島財団、世界初の分析技術


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 沖縄美ら島財団(本部町)は、千葉県立中央博物館の宮正樹主席研究員ほか5大学の研究グループと協力し、海や川で採取したバケツ一杯分の水を調べるだけでそこに生息する魚の種類を特定できる技術を開発した。

本部町の沖縄美ら海水族館で実験したもので、水の分析だけで複数生物の種類を特定する技術は世界で初めて。海洋生物の「ビッグデータ」蓄積をはじめ、種の保全や新種発見などに貢献する新技術として期待がかかりそうだ。
 研究は、生物の体表の粘液やふんなどと共に放出され、水中に漂う「環境DNA」を分析した。DNAをまとめて分析し生物の種類を判定する機器「次世代シーケンサー」に環境DNAをかけ、種を特定した。
 実験は美ら海水族館の4水槽と本部町備瀬のリーフに生息する魚類で行った。水族館の180種の魚のうち、約90%に当たる168種を特定できた。
 宮研究員によると、分析機を用いれば5千種を最短2日で照合でき、一度に千サンプルまで解析できる。これまで魚を捕獲して1種ずつ調べていたのが、一度に解析することが可能になった。今回の研究対象は魚類だけだが、水中の他の生物や陸生の動物にも応用が可能で、ヤンバルクイナなどの希少種や新種研究にも活用が期待できるという。
 宮研究員は「世界中の海で解析ができれば、ビッグデータができる。今何が生息するかだけではなく、時間的な広がりの確認もできる」と話した。
英文へ→World’s First Technique to Identify Fish Species from a Bucket of Water