80代女性、声掛けで回避 読谷で還付金詐欺未遂


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還付金詐欺を未然に防いだ功績で譜久里弘嘉手納署長(左)に表彰される比嘉康子さん=23日、嘉手納署

 「暗示にかけられているみたいだった」―。今月に入り、県内で立て続けに発生している還付金詐欺事件で、被害に遭う寸前で免れた読谷村の80代女性が23日、取材に応じた。

女性は「高齢者は収入がなく、年金でぎりぎりの生活をしている。病院にも長く通っており、返ってくるのなら1円でも欲しかった。公民館の集まりでいつも注意を受けていたが、まさか詐欺だとは思わなかった」と悔しさを隠せない。「払戻金は詐欺だと思って電話を切ってほしい」と注意を呼び掛けた。
 女性によると、16日午前10時ごろ、自宅に公的機関の職員を名乗る男から「4月ごろ青い封筒が来てましたよね。4万円分の医療費の払い戻しがあります」などと電話があった。村内のスーパーの敷地内にある現金自動預払機(ATM)に職員の「島袋」が待機しているとして、携帯電話を持って至急向かうよう促された。到着すると職員はいなかった。すぐに別の若い男から非通知の電話があり、ATMの操作を指示された。
 ATMの操作に戸惑う女性を見た読谷村のインストラクター、比嘉康子さん(49)が声を掛け、電話を代わった。比嘉さんは「振り込みボタンを押して」との指示を不審に思い、電話を切って女性に詐欺であることを伝えた。
 携帯電話は緊急時に備えて親族が買い与えたもの。女性は「1人暮らしなので、電話が楽しみ。誰かと会話がしたかったところを狙われた」と語った。
 23日、還付金詐欺を未然に防いだとして嘉手納署で表彰を受けた比嘉さんは「おばあちゃんは通話中『心臓が苦しい』と話していた。高齢者が詐欺に遭うのは許し難いこと。これ以上被害が広がるのを防ぐために警察に通報した」と話した。