玄米成分ドーパミンに作用 糖尿病予防に期待


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γオリザノールの研究で、膵臓内でのドーパミンへの作用について報告した益崎裕章教授(左)と小塚智沙代特命講師=3日午前、琉球大学医学部

 琉球大学大学院医学研究科の益崎裕章教授と特命講師の小塚智沙代さんは3日、玄米に含まれる成分「γ(ガンマ)オリザノール」が、膵臓(すいぞう)内でホルモンの一つドーパミンの作用を適度に調節し、インスリンを分泌させる仕組みを初めて解明したと発表した。

益崎教授は「天然食品由来の成分が医薬的効果を発揮するメカニズムを分子医学的に解明した点で画期的だ」と強調した。糖尿病の予防や改善につながる薬品や食品などの開発に期待がかかる。
 研究は7月3日付で、薬理学分野で国際的に有名な英国薬理学会誌の電子版に掲載された。9月にも同学会誌で発表される。
 研究チームはマウスの実験で、動物性脂肪の取り過ぎで肥満になると血糖値が上がるのを、膵臓でドーパミンが過剰に働き、インスリン分泌が弱まるためだと確認した。一方で動物性脂肪とγオリザノールを合わせて与えると、ドーパミンの信号伝達系に直接的に作用し、インスリンの分泌を促すことが分かった。
 ドーパミンは体のさまざまな細胞や臓器で働き、健康維持になくてはならないホルモン。研究チームはこれまでにも、γオリザノールが動物性脂肪を好む食行動を改善するという結果も得ている。
 小塚さんは「天然食品由来の成分で実用化も早い。γオリザノールを含んだ医薬品や食品などの開発をすでに始めている」と話す。