ダイオキシン、水質基準2.4倍きょう排水 沖縄市ドラム缶


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 【沖縄】基地跡地のサッカー場から高濃度のダイオキシン類を含むドラム缶が多数発見された問題で、沖縄防衛局は4日、場内掘削部にたまった約25トンの雨水とドラム缶周辺の土壌の環境調査結果を発表した。

防衛局は、雨水のダイオキシン濃度が排水基準以下だったとして「ゴミ焼却場などの施設の排水基準を適応し安全を確認した」と判断し、5日からサッカー場西側の排水路に流す。環境の専門家からは疑問視する声が上がった。
 防衛局の調査では、雨水からは環境省の水質基準値の2・4倍となる1グラム当たり2・4ピコグラムのダイオキシン類が検出されたが、ダイオキシン類の排水基準値(10ピコグラム)以下だった。土壌からも一定のダイオキシン類が検出された。ドラム缶上部にあった土壌からは420ピコグラム、下部からは260ピコグラムが検出された。
 環境総合研究所(東京)の池田こみち顧問は「本来はダイオキシンが含まれていない雨を、排水の基準で考えることが問題の矮小(わいしょう)化になる。雨のたびにビニールシートに雨水がたまれば、同じように排水が繰り返されてしまう」と危険性を強調した。
 沖縄・生物多様性市民ネットワークの河村雅美共同代表は「そもそも防衛局が貯水し始めたのは、問題になってから1週間がたってからで、それ以前の水は結局調査できていない」と指摘した。
 調査ではアルキル水銀化合物などのその他の成分は検出されなかった。