小型機、滑走路外れフェンス激突 粟国空港


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 28日午前8時55分ごろ、粟国村の粟国空港に着陸した第一航空の双発プロペラ機DHC6-400型が、滑走路の右側に外れてフェンスに突っ込んだ。県病院事業局によると、搭乗していた乗客12人と乗員2人のうち、11人がかすり傷や打撲などの軽傷を負った。

同社によると、機体は機首部分が大破し前部のタイヤを支える脚が折れた。右の脚も折れ曲がった。衝突地点付近で微量の燃料漏れが確認されたが火災などの影響はない。粟国空港は滑走路を閉鎖している。
 機長の男性(57)は同社の聞き取りに対し、着陸後に副操縦士(62)がブレーキをかけた際に「ギギギという不自然な音が鳴り、直後に機体が右に曲がった。車輪がロックしたかもしれない」と話しているという。機体が曲がった直後に機長が操縦を代わったが、止められなかったという。
 第一航空の整備士が事故後、確認したところ、タイヤはパンクしていなかった。同社は事故原因に関し「現段階では不明」としながらも「右側のタイヤのブレーキが強くかかったことで急に曲がった可能性も考えられる」としている。
 同社によると、副操縦士(62)が機長昇格の訓練として操縦していた。副操縦士は総飛行時間約1万6800時間のベテランで、事故機での乗務経験は約64時間だった。28日は那覇―粟国間で3往復を予定していた。事故で搭乗予定の約50人に影響が出た。第一航空は当面、那覇―粟国便の運航を見合わせる。
 第一航空の木田準一副社長は会見で「搭乗者や県の皆さまに大変なご心配とご迷惑を掛けてしまい申し訳ない」と謝罪した。
 国土交通省は航空事故と認定、運輸安全委員会が航空事故調査官3人を送った。28日に第一航空で資料の確認などをし、29日には粟国村に入り原因を調べる。県警は業務上過失致傷の疑いもあるとみて機長らから事情聴取をしている。

滑走路から外れて、フェンスに衝突した第一航空の「DHC6-400型機」=28日午前、粟国空港(粟国空港管理事務所提供)