障がいと共生、活動発信 伊江村の浦崎さん


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お年寄りに寄り添い、笑顔で話し掛ける浦崎あゆみさん(左から2人目)=18日、伊江村川平のNPO法人ぐすく会ふさと苑

 【伊江】「障がいは乗り越えるものではない。自分の体と共に生きるもの」。そう話すのは先天性脳性小児まひと診断され、伊江村の自宅で車いす生活を送っている浦崎あゆみさん(33)。「言葉」を与えてもらえたことへの感謝を忘れず、「言葉は私の宝物」と、ブログやフェイスブックなどで詩や自身の活動を発信。

8月からボランティアで週2回、村川平にあるNPO法人ぐすく会ふさと苑を訪れ、お年寄りの話し相手となり、自身の活動の場を広げている。
 浦崎さんが障がいを受け入れられるまでには時間がかかった。2人の弟が元気に遊び回る姿を見て、「なぜ私は歩けないの?」と悩んだ。小学生のころは、車いすに乗っていることで人目を気にしていた。
 中学生の時、ある医師との出会いをきっかけに「病気と共に生きる。(障がいは)体の一部」という考え方に変わり、人や物に補ってもらう感覚を覚えた。20代までは戸惑いや自己否定など葛藤する日々。「『脳性まひは病気じゃない』と思えるようになったのは30代になってから」と話す。
 認知症を患い、不安そうに過ごしていた祖母が3年前に他界したことをきっかけに、島のお年寄りに何かしたいという思いを募らせていたという。ふさと苑を訪れ、「○○さん、あゆみです」とお年寄りの手を自然に握り、声を掛ける。
 目が不自由なお年寄りのために鈴が付いた腕輪を用意し「鈴の音がしたらあゆみですよ」と寄り添う。同苑でお年寄りの世話をする赤嶺優希さん(16)は「みんな楽しそう」と話す。
 浦崎さんは「どんな障がいがある人も、必ず輝くものがあり、障がいがあってもできることがある」ということを発信し続け、家族や恩師、支えてくれる周囲の人へ「恩返しをしたい」と話している。
(中川廣江通信員)