災害時要支援者の避難計画足踏み 名簿は7割完成


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災害時の要支援者名簿の有無(クリックで拡大)

 障がい者や要介護認定者ら、災害時の避難に手助けが必要な「要支援者」の名簿を作成した市町村が、県内では那覇市や宜野湾市、石垣市などの29市町村(70.7%)で、残る12市町村(29.3%)が作成中であることが31日までに、総務省消防庁の調査で分かった。

全国平均は52.2%で、沖縄は10位だった。調査は4月1日時点。作成中の12市町村は全て、2016年3月までには作成を終える予定という。特に支援が必要な人について避難支援者や通っている病院、服用している薬などを記録した「個別計画」の作成も終えているのは浦添市、西原町、東村の3市町村だった。
 名簿は災害対策基本法の改正で、2014年4月1日から全市区町村に作成が義務付けられた。自力での避難が困難な人を事前に把握することが目的。
 作成中の市町村のうち、豊見城市の担当者は「関係機関(社会福祉協議会や民生委員など)の意見も踏まえる必要があり、調整に時間がかかっている。本年度中には作業を終える」と話す。「要支援者について現状でも把握はしている。ただ実際に現場での支援につなげるには名簿が必要で、作業を急いでいる」と説明した。糸満市の担当者も「現時点で持っている名簿の更新作業の途中だが、来年3月までには終えられる見通し」という。
 沖縄市は調査終了後の6月に作業を終えた。担当者は「名簿作りは終えていたが(名簿活用の指針となる)地域防災計画の改定を終えるのが6月になった。県の地域防災計画改定で、沖縄市内の津波浸水域や土砂災害警戒区域が見直されていた」と説明した。
 全国の都道府県で作成率が100%だったのは福島と京都、高知の3府県。最も低かったのは奈良の15.4%だった。消防庁は「名簿があればすぐに駆け付けられる。一日も早く作ってほしい」と呼び掛けている。(宮城隆尋)