奄美・琉球の世界自然遺産登録遅れ 18年以降の公算


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世界自然遺産登録の流れ

 政府が世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」(鹿児島県、沖縄県)で、最短で2017年夏とみられていた登録が18年以降に先送りされる公算となっていることが分かった。登録の前提となる奄美大島や沖縄本島北部などの国立公園化に向けた関係者との調整に時間を要し、9月末までの予定だった環境省による国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産センターへの推薦書暫定版の提出が難しくなっているためだ。

 暫定版提出には、登録候補地の国立公園の地域区分(ゾーニング)原案を作り、パブリックコメント(意見公募)を開始した上で、環境省と両県などが7日に鹿児島県徳之島で開く候補地科学委員会に諮る必要がある。その後は国立公園化の作業と並行し、世界自然遺産の暫定リスト掲載を経て、来年1月までに日本政府がユネスコに推薦書を提出する計画。さらに国際自然保護連合(IUCN)による現地調査と報告を受け、ユネスコで審査、登録される予定。
 環境省那覇自然環境事務所は地域区分調整のため、各候補地の土地所有者や関係機関と協議しているが、国頭、東、大宜味の北部3村や鹿児島県奄美市で調整が続いているという。
 国立公園には五つの地域区分があり、利用制限の厳しい「特別保護地区」と「第1種特別地域」を遺産登録に推薦する見通し。北部では米軍北部訓練場は候補地から外すが、訓練場の一部返還が実現すれば追加登録を検討する方針。