日米、基地立ち入りで環境新協定に署名 米側義務記さず


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】日米両政府は28日午後(日本時間29日未明)、在日米軍基地内の現地調査に関する環境補足協定を締結した。米国防総省で、岸田文雄外相がカーター米国防長官と会談し、署名した。

米軍の施設や区域が返還される場合、米側は約7カ月前から日本側に現地調査での立ち入りを認めることなどが柱となる。米軍基地の運用を定めた日米地位協定の内容を補う協定締結は1960年の地位協定発効以来初めて。新協定は即日発効した。
 日本側が立ち入り調査を求めた場合の米側の受け入れ義務は盛り込まれておらず実効性を疑問視する声もある。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進め、双方が協力していく方針もあらためて確認した。安全保障関連法成立を踏まえ、4月改定の日米防衛協力指針(ガイドライン)に基づき、同盟関係を一層強化することでも一致した。
 補足協定では(1)環境に影響を及ぼす漏出事故の場合(2)文化財調査を含め基地返還に伴う現地調査が必要になった場合―に日本側の立ち入りを認める。米軍が日本の環境管理基準(JEGS)を順守することも盛り込まれた。調査実施の協議も日米のどちらか一方からの要請で、開始することができる。調査には掘削調査も含まれる、とした。

◆知事「十分と言えず」
 日米両政府が環境補足協定を締結したことを受け、翁長雄志知事は「協定が締結されたことは評価したい」とした上で、「県が要望する『少なくとも返還3年前からの立ち入り調査の実現』が盛り込まれていない。事故時の立ち入りについて『米軍が考慮を払う』ことになっており、米軍の運用に左右されるなど十分とは言えない部分もある」とのコメントを発表した。
英文へ→US and Japan sign environmental agreement, but no obligations placed on US