PTSD診断書提出 沖縄戦民間被害賠償訴訟


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結審を前に那覇地裁に向かう原告団=30日、那覇地裁前

 沖縄戦に巻き込まれた住民や遺族ら79人が国に謝罪と損害賠償を求めた訴訟の弁論が30日、那覇地裁(鈴木博裁判長)であり、結審した。判決は来年3月16日。

原告側は最終弁論を前に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など戦争が原因の精神被害が認められた37人の診断書と鑑定書を同地裁に提出した。弁護団によると、戦争被害者による損害賠償請求で精神被害の診断書提出は初めて。
 国側は沖縄戦当時は明治憲法下のため賠償責任を負わないとする「国家無答責の法理」の適用や、戦争被害は等しく受忍しなければならないとする「受忍論」などを主張し、住民らの請求棄却を求めている。
 瑞慶山茂弁護団長は最終弁論で「戦争被害は最大の基本的人権の侵害」と強調。日本兵による住民への残虐行為など沖縄戦の特殊性を指摘し、明治憲法にも臣民の生命や身体などの保障規定はあったと反論した。
 記者会見で野里千恵子原告団長(79)は「戦後処理をしない政府に疑問を持つ。国民のことを思った判決をしてほしい」と話した。PTSDと診断され、30日に意見陳述した神谷洋子さん(78)は「戦争を忘れたことはない。裁判官には被害者の苦しみ、つらさを理解してもらいたい」と訴えた。
英文へ→Civilian victims of Battle of Okinawa file PTSD medical certificate in damage suit against government