マイナンバー事前手続き完了3割 市町村、対策遅れ


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特定個人情報保護評価書の公表時期

 マイナンバー制度は来年1月の運用開始に向け、国民一人一人に12桁の番号を割り当て、各世帯に通知する作業が5日始まる。制度導入に伴い、地方自治体は住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)や社会保障、税の情報を管理するシステムの改修が必要。自治体は、情報漏えい防止の自己点検となる「特定個人情報保護評価書」を住基ネットの改修前に公表することが原則として求められているが、県内で実際に住基ネット改修前に評価書を公表したのは31・7%(13自治体)にとどまった。

秘匿性の高い社会保障や所得に関する個人情報の漏えいを防ぐための、事前の準備や対策が徹底されていない実態が浮き彫りになった。琉球新報が県内41市町村を対象に行ったアンケートで明らかになった。 マイナンバー制度の導入に反対する専門家は「評価書の公表など国のマニュアル自体が形式的でおざなりな対策になっている。自治体のシステムの安全性を見極めることができず、極めて深刻な事態だ」と指摘している。
 行政機関がオンラインで氏名や生年月日、住所、性別などをやりとりできる住基ネットは2003年に稼働。マイナンバーは住基ネットの住民票コードを基につくられるため、各自治体は住基ネットのシステムを、マイナンバー制度に適応できるよう改修しなければならない。
 本紙アンケートでは、住基ネット改修前に保護評価を終え、評価書を公表した自治体は那覇市や宜野湾市、読谷村など。公表が住基ネットシステム改修と同時期、または改修後と回答した自治体は全体の51・2%(21自治体)だった。
 人口規模が小さい渡嘉敷村など5自治体は「公表が求められていない」と回答。嘉手納町と宜野座村は無回答だった。
 マイナンバー制度の導入に反対する「共通番号いらないネット」の白石孝代表世話人は今回のアンケート結果を受け「制度実施に向けて既成事実を重ね、準備ができていなくても見切り発車しようとしていることの表れだ。本来は自治体ごとに個人情報をどこまでどのように守るのか個別の具体策を講じていく必要があるはずだ」と話した。
 5日始まる通知カードの郵送先は全国で約5500万世帯。実際に届くのは10月中旬から11月末ごろになる見込み。