初めての旧盆でとりこに 平敷屋エイサーDVDに ムーク(婿)の竹下さん制作 沖縄


初めての旧盆でとりこに 平敷屋エイサーDVDに ムーク(婿)の竹下さん制作 沖縄 平敷屋エイサーを次世代に伝えたいと語る竹下伸一さん=20日、うるま市勝連平敷屋のアガリメージョー(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城 文

 平敷屋エイサー継承へ―。青年会の人数減により、東西の演舞を統一したうるま市平敷屋のエイサーの技と魅力を伝えようと、DVDが制作された。制作費を受け持ち監督を務めたのは、平敷屋の女性と結婚した「平敷屋ムーク(婿)」で音楽番組などの企画制作を行う「スウィッチ」(うるま市)の代表・竹下伸一さん(68)。「子どもたちに素晴らしさを感じてもらいエイサーを踊ってもらいたい」と、DVDを区内の家庭に配布している。

 竹下さんが平敷屋エイサーに出合ったのは10年前。区内出身のジャズフルート奏者・西仲美咲さんと結婚して初めてのお盆に、義父の故・正好さんに誘われたことがきっかけだった。先祖へささげる荘厳な舞。「背筋がゾーっとして震えた」。とりこになった。

 しかし2022年、青年会の人数減少により、東西に分かれた舞を統合することが決定された。前会長の前代賢太さんらが平敷屋エイサーの存続すら心配するのを目の当たりにし、竹下さんはDVDを作ることを決めた。

昨年の旧盆に東西統合で披露された平敷屋エイサー=2023年8月30日、うるま市勝連平敷屋(喜瀬守昭撮影)

 竹下さんは、コンサート照明からキャリアをスタート。オフコースのマネジャーなどを経て、音楽や文化を発信する雑誌「スウィッチ」の出版に携わった。これまで関わった人々の協力を得ながら、DVDを1年がかりで制作した。

 25歳の上限がある青年会で、若者が平敷屋に誇りを持ち、ウークイ本番に向けて練習に励む姿や、保存会顧問である宮城松生さんが平敷屋エイサーの歴史を紹介する内容となっている。撮影は区出身者が行うなど、地域密着にこだわった。

 6年前に大病を患って寝たきり生活の時、沖縄を巡った思い出が心の頼りになったという竹下さん。その時「沖縄に恩返ししたい」と決意した。竹下さんは「平敷屋の役に立てたらうれしい。このDVDを観て、平敷屋エイサーが子どもたちの憧れになってくれたら」と強く願った。