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「魚役」の子、豊漁願い網の中へ 国頭村安波でシヌグ 航海の儀礼もにぎやかに 沖縄


「魚役」の子、豊漁願い網の中へ 国頭村安波でシヌグ 航海の儀礼もにぎやかに 沖縄 魚とり、航海の儀礼で魚や漁師の役を演じる区民ら=8月15日、国頭村の安波地区公民館
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 【国頭】五穀豊穣(ほうじょう)と豊漁、無病息災を祈る国頭村安波(玉城てるみ区長)のシヌグ行事が8月15日(旧暦7月12日)に行われた。シヌグは旧暦7月最初の亥の日に行われる。

 この日は、朝から時折雨の降る天候で、普段はソージ山のヒラバンタ広場で行われているが、集落の高台にあり、道のりが急勾配であることから安全を考慮し公民館で開催した。郷友会や安波小学校の大田出校長と職員を含め約70人が参加した。

 開催場所の変更に関わりなく集落祭祀(さいし)は、区長・会計がシヌグ従来の祈願場所である、ヌンドンチ、大(ウフ)ヤ、ミーヤー、ヌー神、ナハヤの順番で供え物をささげて祈願が行われた。現在同区では神人が不在になっている。

 玉城区長が公民館の舞台でシヌグの曲に合わせて踊りを奉納した。参加した男性全員に神酒(みき)が配られた。神酒は6月ウーミー祭祀の際に各家庭から徴収された米を使いシヌグ前日に区民の女性らによって作られた。

 踊りを終えた玉城区長が舞台で太鼓をたたき、その合図で、会計から参加者全員が祈願場所に向かって拝むように指示があり、参加者らは正座して手を合わせ、ヌー神、海の神、アサギの方向へ順番に祈願した。

女性たちによるウシデーク(円陣舞踊)=8月15日、国頭村の安波地区公民館

 魚とり、航海の儀礼では安波小学校児童1人と国頭中学の生徒2人と区民が魚の役になり、地域の先輩の誘導で公民館の中を3周走りながら、区民が待ちかまえる魚とりの網に引っかかる魚の役を演じた。網にかかった魚は、イラブチャー、マービ、アーラミーバイ、マグロなどが大漁と発表されると会場から大きな拍手が起こった。

 儀礼終了後は、区民女性らによりウシデーク(円陣舞踊)が行われ、小学3年生も加わり母親と一緒に踊っていた。

 玉城区長は「雨の影響で場所が公民館に変わったが、大事なシヌグ行事が区民の協力で開催できた。区民のみなさんがこの一年健康で無事に過ごせるよう祈願した」と話した。 

(新城高仁通信員)