伝統芸能もソロ活動も
小学生のころから舞台に立っているよなは徹さん。約40年にわたって三線を弾き、歌い続けている。また門下生や生徒に三線・太鼓・笛を指導し、コンクールで審査員を務めるなど琉球古典音楽界では師範・教師としての役目を担い、育成に力を入れる。その音楽人生の歩みを振り返ってくれた。
「ライブで歌ってきた曲を集めました。CDにしてほしいというリクエストもあったんです」と最新アルバム「楽園~paradise~」について語る、よなは徹さん。オリジナル曲「稀代の英雄 尚巴志美・仁・柔」をはじめ前川守賢さんの「SUN SUN パラダイス」などのカバー曲もあり、よなはさんらしさがあふれるジャンル豊富でスケールの大きな作品だ。
コロナ禍を経て音楽界のレコーディング事情が大きく変わり、過去とは違う録音方法でアルバムを作りたい思いもあったという。
「ステイホームでスタジオ使用が難しくなり、パソコンで楽曲制作をするデスクトップミュージックの手法で、いろんな場所で録音できるようになりました。固定概念を崩したい気持ちでサウンドプロデューサーの玉置淑晴(たまき・としはる)さんに相談し、力を借りて録音を進めたんです。本格的なスタジオでなくてもここまでできるのか~と実感し面白かったです」
新しいことへの挑戦が原動力になっているようだ。
出会いが導く次へのステップ
民謡歌手として活躍していた父親の影響で音楽に触れ、物心ついた時には三線を弾いて歌っていたよなはさん。琉球民謡と古典音楽を学び数々の免許取得や受賞を果たしてきたが、ひとりの歌者としての恩人といえる人物は、キャンパスレコード創設者の備瀬善勝さんだという。
「中学生のころからキャンパスレコードでレコードやテープを買っていましたし、20歳過ぎてアルバイトを始め社員にもなりました。当時は制作担当でプロデュース作品もありますが、自分の作品も作りなさいと備瀬社長に言われ2001年にファーストアルバム『よざれ節』をリリースしました」
備瀬社長のその声掛けがなければ、実演の世界にはいなかっただろうと振り返る。
「僕は出会いやタイミングに恵まれていると思います。備瀬社長含め分岐点には必ず誰かがいてくれて、その方たちとの出会いが今につながっていると思えるんですよ」
幼いころから舞台に立ち、嘉手苅林昌さんはじめ沖縄民謡界のレジェンドたちにも会ってきたというよなはさん。人との縁に支えられるのは、持ち合わせている実力と才能、そして人柄なのだろうと思わせる。
9年ぶりの県内ライブ
現在は県内外で琉球古典音楽の門下生に指導し、自身のライブ活動は他県で行うことが多いとのこと。
「門下生の育成は順調で、孫弟子も教師免許を取得しました。若い世代が前に出てほしいですし、自分自身も伝統音楽の鍛錬を重ねながら他ジャンルの方との出会いも楽しみます。交流なくして発展なしと思うんですよ」と笑顔を見せた。
来月にはライブの開催を控えているが、「沖縄で歌えるのは当たり前のようで当たり前ではない感覚があるんです。本当に久しぶりで、7.1chサラウンドの新しい試みをしますので体感して楽しんでいただきたいです」と語る。複数のスピーカーを会場全体に設置し、臨場感あふれるライブ音声になるそうだ。
今回のライブに全力を注ぎ、次回はまた数年後になるだろうと話していたよなはさん。10月27日は特別な公演になりそうだ。
(饒波貴子)
最新アルバム「楽園~paradise~」好評発売中
7曲入り/2500円
発売元:J’s RECORDS
「楽園~paradise~」リリース記念ライブハウスツアー“勇往邁進”
10月27日(日)開場7時/開演18時
会場:ライブハウス モッズ(北谷町美浜)/全席自由4800円(税込み・要ドリンク代)
問い合わせ:ピーエムエージェンシー
TEL 098―898―1331
(2024年9月26日付 週刊レキオ掲載)