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又吉健斗「再出発の気持ちで挑む」 トランポリンW杯 タンブリングに出場 現役復帰後初の日本代表


又吉健斗「再出発の気持ちで挑む」 トランポリンW杯 タンブリングに出場 現役復帰後初の日本代表
この記事を書いた人 Avatar photo 屋嘉部 長将

 4日からポルトガルで開催されるトランポリンワールドカップ(W杯)のタンブリング種目に又吉健斗(具志川東中―静岡・磐田東高―静岡産業大学出、スポーツクラブkenken)が出場する。2023年の大学卒業を機に引退したが、約半年後に競技に戻ってきた。現役復帰後、初の日本代表に「不安もあるが再出発の気持ちで挑みたい」と意気込む。

 体操をしていた又吉がタンブリングに出合ったのは小学6年生の時だった。指導者の父・健一さんが競技の動画を見せたことで「すごいな」とひかれた。体操の床運動では多くても四つの技の連続だが、タンブリングは助走から着地まで約40メートルの間に八つの技を連続で行う。最初は目が回って自分の体をコントロールできず、頭から落ちてしまうこともあった。それでも「見ている人が驚いてくれるのがうれしい」とのめり込んでいった。

 高校生までは体操とタンブリングをしていたが、高校3年の冬に「世界でメダルを取る」とタンブリングを専門でやる覚悟を決め、試合と同じ器具で練習できる静岡産業大学に進学した。

ワールドカップに向け、練習に励む又吉健斗=6月25日、うるま市のスポーツクラブkenken(屋嘉部長将撮影)

 大学1年から日本のエースと呼ばれた。高難度の「後方伸身2回宙返り3回ひねり」を国内大会で成功させたのは又吉だけだ。高さに加え、足がぴたりとそろう美しさもあり、指導者が又吉の演技を「お手本」として子どもたちに指導するなど、一目置かれる存在になっていた。

 だが、世界選手権などさまざまな大会に出場するものの、なかなかメダルには届かなかった。重圧がのしかかり、気持ちが折れてしまいそうになった。大学3年の時に「あと1年なら頑張れる」と期間を決めて打ち込んだ。22年のW杯で日本人初となる銅メダルを獲得するなどし、「やりきった。やり残したことはない」と23年3月の大学卒業で競技者として一区切りをつけた。引退後は沖縄に戻り、体操やタンブリングなどを、3歳から高校生までの子どもたちに指導した。

 コーチとしてタンブリングの全日本選手権に帯同したことが転機となった。緊張や楽しさ、悔しさを見せる教え子の姿に「今まで競技をしていた時に感じていたことを思い出させてくれた」。体を動かすつもりで久々にタンブリングをやると「こんなに楽しかったんだ」と競技への思いが再燃し、23年9月に現役復帰を決意した。

 1週間以上、練習期間を空けたことのない又吉にとって約6カ月の空白は大きく、「体は重くて、もろくなっている感じ」がした。さらに学生時代はほぼ毎日練習していたが、現在は週に2、3回と減った。それでも量よりも質を重視した練習を重ね、ミスは減ってきている。指導する健一さんは「世界一と言っていい美しさもあり、自信を持っている。今の方が強い」と太鼓判を押す。

 約2年ぶりの日本代表の復帰に不安やプレッシャーはある。それでも「自分の演技をして、戻ってきたことを伝えながら、この競技の楽しさを発信していきたい。目標はメダル獲得」と力を込める。日本の第一人者が、再び世界に挑む。

(屋嘉部長将)