沖縄そばは奥が深い。だしの種類や面の太さ、一緒に食べる具材など組み合わせ次第で味わいが無限に広がる。多くの県民に愛され、世界に誇れる食の一つと言える
▼ブラジルの都市カンポグランデでは沖縄そばが文化遺産に登録される。沖縄からの移民が現地で広めて、孫の世代が現在も引き継ぐ。遠く離れた異国の地で沖縄の食文化が根付く
▼沖縄の最初の移民が、当山久三のあっせんで那覇港を出発したのは1899年。ウチナーンチュは各国に移住して、世界中にネットワークを広げた。食だけでなく文化や芸能も各地で継承される
▼戦後の食糧難を救うため、ハワイの県系人は故郷に豚を送った。ハワイ・マウイ島の山火事を受けて県内各地から寄付が集まった。世界のウチナーンチュは常に相手を思い、支え合いながら絆を強めている
▼きょうは久三の命日。どんな未来を思い描いて移民に関わったのか。海を渡った県系人は苦労を重ねながら発展の礎を築いた。今では久三が夢見た通りか、それ以上の財産を私たちは手にしている。