<金口木舌>地域で紡ぐ物語


<金口木舌>地域で紡ぐ物語
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 「もう一度岩戸の景色が見たい」。元県議の金城昌勝さん(90)=豊見城市真玉橋=の思いが実現した。5月、地元真玉橋の有志が支えた。80年前、金城さんは疎開のため岩戸村(現宮崎県高千穂町)で暮らした

▼もともとの計画は区民数人による高千穂への観光だったが、金城さんが同行を希望するとメンバーが了承。いつしか高齢の金城さんを連れて行くこと自体が目的となった。疎開世代の子らも加わり、最終的には50~70代25人の訪問団が出来上がった

▼現地で金城さんは町立岩戸小学校を訪れ、疎開当時の体験を講話した(5月21日付本紙)。帰沖後、児童からは「おかげで戦争のことを知ることができた。もっと学びたい」などと感謝状が寄せられた

▼高千穂町との連絡役を担った比嘉豊さん(53)によると、自身も含め疎開の話をじっくり聞いたのは初めてというメンバーも

▼「二度と戦争をしてはいけない。恒久平和の大切さを強く思った」と団長を務めた小嶺保さん(62)。メンバーが共有した思いは地域の新たな物語となったに違いない。