<金口木舌>旧優生保護法の罪


<金口木舌>旧優生保護法の罪
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 長く暗いトンネルに光が差した。障がい者らに不妊手術を強いた旧優生保護法を巡る訴訟で、最高裁が旧法を違憲と判断した

▼「不良な子孫の出生を防止する」というおぞましい目的の法律ができたのは1948年。議員立法により全会一致で成立した。前年に「法の下の平等」をうたう憲法が施行されていた

▼政府は手術を行う際に身体の拘束や麻酔薬の使用も許される場合があると通知した。96年の法改正まで、少なくとも約2万5千人が手術を受けた。立法と司法の共犯による「戦後最大の人権侵害」だった

▼旧法は人の命に優劣をつける「優生思想」をまきちらした。72年の高校保健体育の教科書は、結婚前に相手の家系を調べ、「悪質な遺伝」が疑われた場合に結婚や妊娠を避けることを推奨した

▼2016年に神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件に見るように、障がい者を虐げる悪辣(あくらつ)な思想は現代社会にこびりついたままだ。最高裁の判決は希望の光だ。暗いトンネルを抜けたと言えるのは、真に共生社会が実現した時だ。