<金口木舌>伝統を紡ぐ息づかい


<金口木舌>伝統を紡ぐ息づかい
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 かがり火に照らされ、円形に並んだ女性たちがしなやかに踊りを披露した。15、16日に開催された国頭村安田のシヌグ。女性だけで踊るウシンデークが祭りの最後を飾った

▼今年の祭りは「小さい祭り」で「シヌグングヮー」と呼ばれる。独特な文化や風習はやはり興味深い。「ヤマシシトゥエー」(イノシシ捕り)、「ユートゥエー」(魚捕り)の演目は、山と海の両方に近い集落の特色を映し出した

▼国指定重要無形民俗文化財でもあり、400年の伝統を受け継ぐには大きな労力がいる。誇りと責任感を抱え、この日のために毎日練習に励んだのだろう。踊り終えた後の区民のほっとした笑顔が印象的だった

▼「踊りや歌などの精神性は本来とは違っているかもしれないが、大切なのは神行事であることを忘れないことだ」と、安田区古文化保存会の大城盛雄顧問。時代は移り、考え方や環境も変わる。それでも行事は集落の人々の絆を強くする

▼旧盆を終え、月末には大宜味村の塩屋などで海神祭も開催される。各地の公民館では豊年祭に向けた準備も真っただ中。やんばる各地で伝統を紡ぐ息づかいが聞こえる。