<金口木舌>「ステーキ政治」から見える世界


<金口木舌>「ステーキ政治」から見える世界
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内の格安ステーキ文化は終わりを迎えつつあるようだ。円安や飼料価格の高騰で牛肉が値上がりしている。これまでのように「安くておいしい」というわけにはいかない。店側も経営は厳しかろう

▼あの人たちはどんなステーキを食べているのだろう。自民党の麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長がステーキを食べながら、総裁選に向けて意見交換をしたそうだ。「ステーキ会食」の見出しで報じられた

▼かつての「料亭政治」に代わる「ステーキ政治」だろうか。自民党派閥の裏金問題は終わったわけではないのに、忘れてしまったかのよう。ステーキ店という舞台装置がなくても意見交換はできる。これでは政治は変わらない

▼党総裁選に多数が名乗りを上げている。裏金問題で多くの派閥が解消した今、いかなる政治力学が働くのだろう。きっと会食も増えるだろう。言いたいのは、つつましい庶民の暮らしを見つめてはどうかということ

▼そんなことを考えながら、近所のスーパーに買い物へ行った。牛肉は高め。安い挽肉を買い、店を後にした。ため息一つ。この気持ち、会食好きの面々に分かってもらえるだろうか。