＜金口木舌＞「黒船の動きに注目」

　１８５３年７月、浦賀沖に出現し、日本に開国を迫った米国のペリーはその１カ月半前、琉球に立ち寄っていた。住民の目には、真っ黒な蒸気船は異様に映ったに違いない。首里王府はペリー一行を丁重にもてなしたそうだ

▼その驚きの大きさから「黒船」という言葉は、海外から国内に衝撃をもたらす新しいモノや計画のたとえとなっている。県内に初進出した会員制スーパー「コストコ」。県内小売業界での黒船といったところ

▼南城倉庫店が24日にオープンした。高い天井が広い空間を生み、店名通り倉のよう。実際の業態は小売りでなく卸売りといい、国内になかった販売手法で客の心をつかんだ

▼最低賃金が千円以下の沖縄でも時給１５００円の採用方法も関心を高めた。県外ではコストコを中心に事業所や住民が集まった事例もある。沖縄より１日先に開業した滋賀県東近江市は誘致に８年以上かかった

▼南城市の黒船はさっそく大きな波を起こした。長蛇の列は市民の期待の表れだが、周辺では交通渋滞が発生した。大波はまちづくりの推進力になるか。まずは、市民生活との調和という課題を乗り越えたい。