＜金口木舌＞選手への敬意を忘れるな

　全国高校野球選手権大会（夏の甲子園）は、京都国際が春夏を通じて初の頂点に立ち、幕を閉じた。栄冠をつかんだ選手たちの健闘をたたえたい

▼その京都国際への誹謗中傷がネットで相次いでいる。韓国系民族学校がルーツの同校は校歌が韓国語であり甲子園でも流れた。韓国が日本海の呼称とする「東海」が歌詞に含まれることが気にいらないらしく、中傷が広がった

▼決勝は両チームとも投手陣による好投と固い守りで９回まで０が並んだ。九回の攻防や決勝で初めてのタイブレークなど最後の最後までどちらが勝ってもおかしくない好ゲームだった

▼京都府の西脇隆俊知事はネット上に投稿された民族差別の悪質なコメントを削除するよう、京都地方法務局とサイト運営者に要請した。「あってはならず、許されない行為だ」と

▼報道によると、京都国際の初試合は１９９９年、０―34の大敗を喫したという。そこから全国の頂点へ上り詰めた。優勝を決めた球児たちの歓喜の表情にも感動した。刻んだ歩みに敬意を払いたい。話が野球からそれていくことがもどかしい。ヘイトが入りこむ余地などないはずだ。