<金口木舌>性暴力の裁判、二次被害いつまで


<金口木舌>性暴力の裁判、二次被害いつまで
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 何度繰り返されるのだろう。性暴力被害に遭ったと力を振り絞って警察に訴えた人が、さらに傷つけられる。二次被害はなくせないのか

▼加害側が米軍関係者となれば注目度はいや応なしに高くなる。捜査権や容疑者の身柄など日米地位協定に関わる政治的課題ともなる。まだ顔の見える社会が残る沖縄で性被害を訴える恐怖は想像を絶する。そんな裁判、性暴力が一体いくつあっただろう

▼米兵の少女誘拐暴行事件裁判で25歳の加害者は未成年の少女を18歳と認識していたと主張した。自分に落ち度はないというのである。証人尋問に臨んだ少女は終日法廷に立った

▼痛めつけられたと訴える少女がついたて越しに加害側のいる法廷で思い出したくもない現場に引き戻される。彼女の心中を言い表す言葉が見つからない。法廷と別室をつなぐビデオリンク方式を採用できたのではないか

▼「年齢の認識が争点なので被害者を裁判所に見てもらいたい」という検察の趣旨を被害者側がくんだという。少女の「勇気」に頼りすぎてはいないか。刑法も改正された。性暴力の裁判の在り方を改めるのは大人の責任である。