夏休み明けの新学期前日、高校生の息子が「学校に行きたくないな」とつぶやいた。人づきあいが苦手だと言う。行き渋りがたびたびあり、頭を痛めている
▼生徒が学び合い、部活動や行事を通して友情を築くことのできるのが学校の良さ。一方でいじめや、なじめないなどの理由で不登校になる生徒もいる。不登校の小中学生は22年度全国で約30万人、高校生は約6万人に上る
▼大切なのは子どもにとって学校が安心できる環境かどうか。かつて不登校だったジャーナリストの石井しこうさんはインタビューで「まず本人の話をじっくり聞き、受け止めてあげてほしいです」と語る
▼親は学校へ行きたがらない子どもを見ると不安にかられる。それも自然な感情。「そして道は一つだけではない、苦しさからはなれてもいいんだよと伝えることが大事です」。石井さんの言葉は親が視野を広げる大切さを説く
▼息子は翌日、登校した。疲れたのか、帰宅後ぐっすりと寝た。夜に起きて「はら、すいた」と一言。晩ご飯をほおばった。べたなぎの日があれば荒波の日もある。あせらず、じっくり。自分に言い聞かせた。