過去3番目に低い投票率、53.27%で終わった8日の宜野湾市長選挙。松川正則前市長の急逝に伴う短期決戦や8年ぶりの単独選挙も影響したか。投票したのは4万1361人。佐喜真淳新市長のかじ取りを注視しよう
▼福祉や経済など市民の暮らしを守るための政治行政のみならず、戦後米軍に接収されて以来、連綿と続く普天間飛行場や辺野古移設の問題で国策に翻弄(ほんろう)される。地域の力や絆をそがれ続ける街
▼投開票日の朝、出口調査を担当した。イソヒヨドリがさえずるのどかさと裏腹に、調査票の記入依頼と回収に躍起になった。3時間ほどたって、最後の81人目となったのは赤ちゃんを抱っこした若いお父さん
▼“作業”と化した集票の達成感に酔ったか、確認を怠った。「誰に投票したか」の問いで、彼が3候補者の欄外に自筆で記した「なし」の文字に後で気づく。わざわざ投票場に足を運んで白票を投じた理由を聞きそびれてしまった
▼有権者の顔に1票の重みを感じ、宜野湾という街での深く困難な政治の営為を思う。白票を投じた彼、そもそも投票場に来なかった3万6285人の人生も想像し続ける。