国の天然記念物ヤンバルクイナ複数羽が、約2メートルのハブと対峙(たいじ)する動画を本紙が撮影した。甲高い鳴き声でハブをけん制する様子が確認できる。専門家によると、親鳥が幼鳥に天敵の危険性を伝えている可能性があるという
▼マングースと遭遇した際も同じように、危険な生物だと教えているのだろうか。本島北部のみに生息するヤンバルクイナは、マングースなどに捕食され個体数が減少した。外来種が沖縄の生態系に悪影響を及ぼしている
▼環境省は奄美大島でのマングース根絶を宣言した。アマミノクロウサギなど希少生物を捕食しており、官民一体となって防除事業を進めた成果が出た。在来種が生きる本来の自然を取り戻せそうだ
▼少し立ち止まって、マングースの目線で考えてみる。ハブ駆除のため異国から連れてこられたが、成果が出ないと「外来種」として駆除される。人間は身勝手だとため息も出よう
▼県内でもマングースの駆除が進む。ヤンバルクイナを守るためと理解しつつ、複雑な心境になる。過去の失敗から学び、持続可能な手法で沖縄の自然を守り未来に残すことが、私たちに求められている。