「挑戦シリーズ」 沖縄県・(一財)沖縄観光コンベンションビューロー 観光人材の育成支える マッチングで悩み解決

 沖縄県と(一財)沖縄観光コンベンションビューロー(下地芳郎会長・以下OCVB)は観光業に携わる企業・団体を対象に人材育成及び語学研修への各種支援事業を実施している。事業の柱は企業と講師をつなぐマッチングと研修費用の助成。狭義の観光業だけでなく、観光客が多く訪れる施設や店舗も助成対象とし、国内外の観光客が満足できる質の高いサービスを提供できる人材育成を支援し、観光立県沖縄のさらなる飛躍を目指している。



 本人材育成事業の要となるのはインターネット上に設立された「沖縄観光人材育成マッチングサイト 育人(はぐんちゅ)」。企業と講師をつなぐマッチング支援と研修費用の助成を支援し、国内外の観光客が満足する質の高いサービスを提供できる人材育成をサポートする。


 「育人」には幅広い分野の専門家90人以上が講師として登録しており、様々なニーズに対応している。研修の実施を希望する企業は「育人」で英語研修や異文化理解など希望の講師を選び、申し込みを行う。


 講師は企業が抱える課題や要望に応じてオリジナルの研修を組み立てるため、即効性の高い研修を実現している。ジャンルは語学研修のほか、「接遇マナー研修」、「販売力アップ」、「地域活性化」、「SDGsゲーム体験&講習」などさまざまな研修を取りそろえている。


 今年度の当事業の助成額は、講師謝金が1時間当たり上限7700円。地域観光協会などについては1万1000円だ。また、講師を招へいする場合は、航空運賃・フェリー代・宿泊費(※条件あり)も助成対象となるので、離島の企業・団体にとっても大きな利点となっている。




~ 研修の様子 ~


東村ふるさと振興株式会社「接遇マナー研修」

北谷町観光協会「観光セミナー 北谷観光の未来を考える〜日本一の観光地をめざすブランド戦略〜」

株式会社キープブルー「接客英語研修」

マリンプロモート協会「リスクマネジメント及びPWCレスキュートレーニング」




プロの技術 間近で




舌触りが良く仕上がるこんにゃくの切り方を実演する伊是名カエさん。参加者は包丁の使い方をじっくり見つめていた


 読谷村観光協会の会員を対象とした第1回講座「おもてなし琉球料理を作ろう」が開催された。講師は料理研究家の伊是名カエさん。18人が参加し、ラフテー、クーブイリチー、中身の吸い物の3品を調理した。
 



調理した3品



和気あいあいと実習を楽しむ参加者たち

 同研修は企業研修の支援事業を活用し、調理実習3回、座学1回の内容でみっちり琉球料理を学ぶ。調理できるようになるだけでなく、食文化や歴史的背景を知ることが目的だ。企画立案した同村観光協会の比嘉等事務局長は「読谷村を訪れる観光客は年々増加し、教育民泊なども盛んになっている。村内で観光に携わる事業者の中には県外からの移住者も多く、琉球料理について一から学びたいという声が上がっていた」と語る。


 「琉球料理のおもてなしの極意は口触りや喉ごしにあります。切れ味のいい包丁で一気にこんにゃくを切りましょう」「煮込み時間は道具によって変わるので、煮る音や鍋の様子で判断して」―。知識に裏打ちされたプロのアドバイスに、参加者はメモをとるなど熱心に聞き、協力して調理に取り組んだ。約2時間かけて作り上げた3品は見た目も味も大満足の仕上がり。参加者は笑顔で舌鼓を打った。


 比嘉事務局長は「参加者の中には初対面同士もいたが実習を通して密なコミュニケーションを図ることができた」と料理の技術向上以外の成果も実感。「研修を足掛かりに会員間の連携や新たな観光の可能性を模索したい。今後もこの事業を活用し、会員の要望や期待に応えられる有用な研修を提供し、おもてなしのスキル向上に努めたい」と力を込めた。



健康長寿でおもてなしを

講師 伊是名カエ氏トータルウエルネスプロジェクトオキナワ代表


伝統的な琉球料理は、時間と手間がかかりますが、見た目が美しく塩分量も控えめ、だしを多く使うのでおいしくて体に良いものです。簡単・時短でできる料理だけでなく、正しい技術と知識に裏付けされた琉球料理でおもてなしできる。これはより付加価値の高いサービスになるでしょう。観光地としての沖縄の強みの一つに健康長寿や料理があります。この魅力を観光に携わる方々がそれぞれの分野で発信できるよう、幼少期からの食育や人材育成に取り組みたいです。




実践重視、現場に活気も




 前田産業ホテルズでは、平成24年度から助成事業を活用して語学研修を実施している。急増する外国人観光客への対応が課題となる中、現場スタッフの悩みに対応した実践的な研修が好評だ。今年度は受講希望者の増加に伴い、英語研修のコマ数を増やした。1人あたり15時間受講する濃密な内容だが、スタッフが業務の合間にしっかり学べるよう、社を挙げてサポートしている。


ロールプレイで実践的な接客英語を学ぶ受講生たち

 研修内容はロールプレイを通して、接客で使える英語を体で覚える内容だ。英語が母国語ではないアジア圏からの観光客への対応は、流ちょうな会話より簡単な一文の方が伝わりやすいことが多い。人材育成を担当する喜友名瑞姫さんは「相手に失礼にならないような話し方が分からず悩むスタッフが多かったのですが、先生が『流ちょうでなくていい』と言ってくださることで気持ちが楽になりました」と語る。


 同僚と一緒に共通の課題の解決に取り組み、習ったことをすぐに現場で試せるのも魅力。喜友名さんは「学ぶことが自信になり、プラスでサービスをしようという流れにつながっていると思います」と効果を実感している。


 「研修は個人の成長を促し現場も活気づくので、とても大切な機会です。沖縄県のこの事業は費用助成もあるので、研修を継続しやすく助かっています」と笑顔で語る喜友名さん。「今後は北部エリアの観光の盛り上げ役として、学んだ語学を生かし、世界中の人々に楽しんでいただけるおもてなしをしていきたいです」と展望を描いた。



間違い恐れず実践を

講師 宮城アンナメイ氏(チャイナゲートウェイ)


 多国籍なスタッフがそろう前田産業ホテルズさんの研修では、それぞれが現場で抱える課題解決を目指し実践的な研修を心掛けています。「研修では間違えてもいいからたくさん練習して、お客様の前では自信を持って英語で対応できるようになろう!」と伝え、どんどん発言を促しています。海外の文化や国民性なども一緒に学ぶことで、お客様のニーズを正確に把握し、より充実したサービスが提供できます。研修生が自信を持って満足度の高い海外ゲストの対応につながる研修となれば幸いです。














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