このままでは消えてなくなる… 100万年前のクジラ化石 なぜ保全が進まないのか?


社会
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保護対策が遅れている岡波島のクジラ化石=9月14日、岡波島

 【豊見城・糸満】おきなわ石の会(大城逸朗会長)は9月14日、「岡波島のクジラ化石を観る」観察会を実施した。岡波島は、豊見城市と糸満市の沖合にある。100万年前のものとみられる化石だが、両自治体で島の帰属問題が解決していないため、保護対策が遅れている現状も指摘された。

 観察会で大城会長は「クジラは100万年も前のサンゴ礁の海に迷い込んで座礁して死に、そのまま埋もれて化石になったと考えられる」と説明した。

 化石は、波による侵食も懸念され、保護対策が急がれている。大城会長は「豊見城市と糸満市との島の帰属問題のために保護対策が遅れている。早めに天然記念物に指定し、環境保護を図らないとこのままでは消えてなくなる心配がある」と話している。

 「クジラの化石」は、1898(明治31)年に博物学者の黒岩恒博士が初めて存在について論文を発表している。

 岡波島は南部の地層と同じく、400万年前の「島尻層群、クチャ」と、その上の100万年前の「琉球石灰岩層」から成る。

 観察会には42人が参加した。豊見城市与根漁港から4隻の小型漁船を2往復させて輸送した。無人の岩礁島には船着場もなく、下半身海水に漬かりながらの上陸だった。
 (喜屋武幸弘通信員)