吉永小百合さん・坂本龍一さんコンサート 詩と鍵盤 平和の二重奏 沖縄思い響き合う


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「てぃんさぐぬ花」を歌い終え、舞台に並ぶ坂本龍一さん(中央)と吉永小百合さん(右から3人目)、古謝美佐子さん(同2人目)=5日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟(喜瀬守昭撮影)

 5日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟で開かれた吉永小百合さんと坂本龍一さんによるチャリティーコンサートでは、坂本さんの研ぎ澄まされたピアノの音色と平和の尊さを伝える吉永さんの朗読が、満場の観客を最後まで引きつけた。

 公演前半は坂本さんと古謝美佐子さんの共演。坂本さんが2015年に制作した曲「弥勒世果報(みるくゆがふ)~undercooled~」では、柔らかく優しいピアノに乗せて古謝さんが味のある歌三線を聴かせた。「安里屋ユンタ」では客席から手拍子とはやし、指笛が鳴り、会場を和ませた。

 後半は吉永さんによる朗読。県内の子どもたちが手掛けた「平和の詩」など計11編を披露した。

 吉永さんは「平和の詩」について「全国の人がテレビで見たりラジオで聞いたりする。私もその一人だ。いつも胸が熱くなる」と印象を語った。

 坂本さんは朗読に合わせてピアノを演奏。「沖縄で演奏するのは初めてだと思う。やっと夢がかなった」と話した。

 星野博さんの詩「展示室」では、悲しみに満ちたピアノの旋律に重ねてひめゆり平和祈念資料館の様子や、沖縄戦で命を失われたひめゆり学徒の思いを酌み取って朗読。比屋根憲太さんの「平和のいのり」に差し掛かると、客席からは鼻をすする音が漏れた。

 公演を観賞した元ひめゆり学徒の知念淑子さん(91)は「吉永さん、坂本さんによる沖縄への思いがひしひしと伝わる公演だった。とても感動した」と語った。ステージで「てぃんさぐぬ花」を歌った具志頭中学校3年の上門秀伍さん(15)は「坂本さんの生の演奏を間近で聴くことができてうれしかった。いつか坂本さんのような音楽家になりたい」と目を輝かせた。