<夏季高校野球>「島の人へピース」焦りが笑顔に 主将仲間の奇策でピンチ脱す


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9回裏のピンチにセンターのカメラ席に向かってピースサインを送る八重山ナイン(大城直也撮影)

 高校野球の2020沖縄県夏季大会最終日は2日、名護市のタピックスタジアム名護で決勝を行った。ノーシード同士の対決となった頂上決戦は八重山が4―2でKBC未来を退け、夏の県大会で初の頂点に立った。

 「何のためにやってきた? 優勝するためだろ」。この大会お決まりのフレーズをこの日も繰り返しつぶやいた。八重山の内間敬太郎主将がピンチで仲間に問い掛ける言葉だ。次打者席の代打にも必ず声を掛け気持ちを一つにした。

 「最後は全員で終わろう」と兼島兼哲監督の全員起用の指示で九回の守備位置が大きく変わった。焦りで失策もあり2死一、三塁のピンチ。内間が伝令に走った。「勝ち急ぐなよ。最後まで笑って楽しもうぜ」。リラックスさせようと思い切った提案をする。中堅から報道カメラが狙っていることが頭にあった。中継を見る保護者や島の人へと全員でピース。抜群の笑顔に変わり、主将の“奇策”はてきめんだった。

 優勝が決まると涙を流し仲間に感謝を伝えた。「開催してくれた高野連、応援してくれた保護者みんなに感謝しかない」。3年生全員でつかんだ謝恩の頂点を静かに喜んだ。