保護したカンムリワシ、森へ帰る 交通事故で骨折 沖縄・石垣 安全運転呼び掛け


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放鳥され、羽を広げ飛び立つカンムリワシ=12日、石垣市崎枝

 【石垣】交通事故に遭い保護されていた国の特別天然記念物で雄のカンムリワシが12日、保護された市崎枝の県道79号沿いの畑から森に返された。羽を広げ50メートル程先の木に飛び立ち、枝の上で羽を休ませた後に、元気よく森の中に帰っていった。

 環境省石垣自然保護官事務所などによると、この個体は今年2月1日に道路脇で左羽を骨折した状態で見つかった。2020年5月にも衰弱したところを見つけられ、2回目の保護だった。

 動物病院で治療後に施設でリハビリを開始。「頑固で負けん気が強い」性格で、餌を口にしない期間もあったが、徐々に体力を取り戻し、冷凍のハブや蛇を食べ順調に回復した。

 約2カ月半のリハビリを担当した石垣やいま村の飼育員、渡久山恵さんの手から放たれたカンムリワシは大きく羽ばたき木の枝に着地。近くの電柱の頂上にいた別のカンムリワシが「なわばりを取られた」と思い、この個体の近くまで飛んできて野生の洗礼を浴びせた。

 しばらくして2羽は森の中に飛び立っていった。渡久山さんは「柵のない空に飛び立てて良かった。元気に過ごしてほしい」と願った。

 石垣自然保護官事務所によると、カンムリワシの今年の交通事故件数は、12日現在で今回の個体を含め4件発生しており、うち2件が死んでいる。これから観光シーズンを迎え交通量が増えるため、同事務所と渡久山さんはスピードを落として安全運転をするよう注意を呼びかけた。
 (照屋大哲)