「あと50メートル!」 200キロを超える過酷なレース 最後の力振り絞り 感動のゴールに宮古島が湧いた


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総距離202.195キロの長丁場のレースを完走。ゴールテープを手にし万感の表情を見せるアスリートら=14日夜、宮古島市陸上競技場

 【宮古島トライアスロン取材班】断続的に雨が降る中、熱い競技が繰り広げられた第35回全日本トライアスロン宮古島大会。時折降り注ぐ太陽の光の下で「宮古ブルー」の海が輝く島々を舞台に、トライアスリートはひた向きにゴールを目指した。ある選手は完走の喜びを家族らと分かち合い、またある選手はあと一歩で時間切れとなり涙をのんだ。ボランティアは一人でも多くの選手が完走できるよう背中を押し、沿道の人々は自らも楽しみながら思い思いの形で「ワイドー(頑張れ)」と声援を送った。人気の観光地、好景気で熱気に満ちた島がさらに沸いた。

 「もうちょっとだよ!」「まだまだ間に合う!」「あと50メートル!」。制限時間の午後8時45分が近づくにつれ、最終関門の宮古島市陸上競技場ゲート前には、選手の家族や友人、ボランティアスタッフなど多くの人たちが駆け付け、大きな声援と拍手で200キロを超える厳しい道のりを乗り越えてきた選手らの最後の力を奮い立たせる光景が繰り広げられた。

 スイム、バイク、ランの計202・195キロの過酷なコースに挑む全日本トライアスロン宮古島大会。14日の第35回大会は土砂降りに始まり、土砂降りに終わった大会となった。スイムスタート時には大雨で競技開始が15分遅れ、午後にも局地的な雨で道路が冠水してバイクコースが一部変更になるなど、天候の影響を大きく受けた。

 制限時間20分前となった午後8時20分ごろ、大粒の雨が降り出した最終関門のゲート前では、締め切り直前に何とか間に合って雄たけびを上げる選手や、ほっとして涙を流しながら最後の力を振り絞って競技場のトラックを走り抜ける選手らの姿があった。最後にゴールテープを切った大内和枝さん(61)=島根県=はトライアスロン歴30年近くで、宮古島は初参加。予想以上にアップダウンがきつく、悪天候にも悩まされた。それでも「たくさんの人が応援してくれた。ゴールできて良かった」と喜びをかみしめた。

 一方で、競技場を目前にゲートが閉まり、時間に間に合わなかった選手らは、険しい表情に無念さをにじませた。神奈川県から参加した栗原茂さん(55)は、あと5分というところでゲートが閉まった。「2回目の参加で、前回は完走できたが、今回はきつかった」と険しい表情。「大好きな大会なので、出られただけでもうれしいが、やっぱり次は完走したい」と話し、大会終了を告げる花火を見上げた。