朝一会、貴重な東京国立公演 音楽界に刺激期待


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「二揚仲風節」を歌う照喜名朝一(右)と照喜名朝國=8日、東京都の国立劇場

 琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会(照喜名朝一総帥)が8日、東京都千代田区の国立劇場で「翔(と)べ! 世界へ朝一サウンド」を開催した。

同劇場での琉球古典音楽主体の公演は珍しい。さらに1人の師匠の門下生でつくる団体が成し遂げたのは特筆すべきで、音楽界に刺激を与えることが期待される。
 第1部は古典で固めた。「くはでさ節五題」は沖縄、関東、ハワイなど5グループに分かれ、5種類の「くはでさ節」を斉唱した。会の国際的な広がりを感じると同時に、聞き比べが楽しめた。
 朝一と照喜名朝國は「風三題」を独唱した。いとしい人を見送る「本花風節」、月夜に愛を語る「今風節」、誠実な心の大切さを説く「二揚仲風節」で古典の奥深さを伝えた。
 第2部で若手によるバンド「あけぼのサウンド」は朝一作の民謡やポップスを演奏した。いきおいある演奏は未来への活力にあふれ、古典にとどまらない多彩な音楽性を示した。
 近年、組踊や琉舞に続き琉球古典音楽も県外・海外に発信する機運が高まっている。他の団体も東京公演に挑み、全体の底上げにつながればいいと感じた。
(伊佐尚記)