県内特有の難病に「新薬を」 患者ら嘆願へ


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会員15人でスタートした希の会のメンバー=21日、沖縄市海邦

 【中部】筋肉が10年単位で徐々に衰えていく沖縄型神経原性筋萎縮症の患者や家族、サポーターらが22日までに、家族会「希(のぞみ)の会」を発足させた。県内で約60人の患者のいることが確認されているが、潜在的な患者はもっといるとみて、広く参加を呼び掛けている。

希の会では、国に特定疾患認定を求めていくほか、原因遺伝子が2年前に特定されたことから、特効薬として期待がかかる新薬の開発を製薬会社に求めていく。
 当初15人が会員となった希の会は、会長に音楽活動を全国で展開する「ケントミファミリー」の我如古盛健さん、事務局長に徳田貢さんが就任した。我如古会長は「治らない病気と受け止めていたが、薬は医学レベルで、ほぼ開発できると聞き、希望の光が見えてきた。だが、新薬開発には至っておらず、家族会でまとまって国や製薬会社に嘆願していきたい」と話した。
 県内特有とされる沖縄型神経原性筋萎縮症の症状は、手指の筋肉が次第に萎縮し力が入らなくなる。萎縮は体の上部に進んで全身におよび、飲み込むのが困難となり、さらに進行すると呼吸筋もまひして呼吸が十分にできなくなる。
 徳田事務局長によると、病気の原因はDNAレベルまで解明されているという。ただ採算性の問題もあり製薬が進んでいない。徳田さんは「現在いる人を救い、さらに今後も増えていく患者を救ってほしい。製薬会社が新薬開発に着手してくれることを患者たちは待ちわびている」と話した。
 希の会では、特定疾患認定の働き掛けで、病気の治療研究を促進させ、患者の金銭的負担の軽減にもつなげていきたい考え。現在署名活動を展開中で、広く入会を呼び掛けている。問い合わせは我如古盛健さん(電話)090(8290)5746。(斉藤学)

<用語>沖縄型神経原性筋萎縮症
 30~40歳代に手足のけいれんが始まり、45~50歳から四肢近位筋の筋萎縮が発現し始める。50歳代からは歩行が困難となる。筋萎縮側索硬化症(ALS)と違い、病状の進行は緩やかで70歳以上の患者もいる。1985年に「沖縄本島にみられる感覚障害を伴う特異な神経原性筋萎縮症」と旧厚生省に報告された。