<社説>産業まつり ものづくりの底上げ期待


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 第38回沖縄の産業まつりが24日から3日間の日程で那覇市の奥武山公園と県立武道館で始まった。

 ことしのテーマは「美ら島の魅力がギュッと県産品」。過去最高となる533の個人・団体・企業が出展しており、ものづくりの機運が高まっていることをうかがわせる。
 県民にとって、県産品をまとめて体感できる年に一度の機会だ。ぜひ県内企業の技術力に触れてほしい。
 参加企業にとっては、新商品発表やマーケティングの場だ。自社商品の評価を基に、課題を克服して、製造業全体の底上げにつなげたい。
 ことしの産業まつりは、製造業の基礎となる金型技術を紹介している。全てアルミでできたサンシンは技術力の高さを示している。好調な入域観光客の増加に伴い、土産品を製造する菓子産業が数多く出店している。規模拡大を目指すのではなくオンリーワンの商品を開発する食品加工業者も増えている。
 製造業は、円安による原材料高と燃料費の高騰に、消費税増税が重なって逆風が吹いている。その一方で、全日本空輸(ANA)の国際物流ハブ(拠点)事業が海外販路拡大の大きな力になっている。国内の主要空港を経由せず沖縄発海外行きが可能になったことは大きい。
 沖縄地区税関によると、2013年の国際貨物取扱量は前年比7・7%増の14万7945トン。09年の約7倍となり、国内空港では成田、関西、羽田に次いで多い。
 ANAは5月、那覇からの貨物路線で新たにシンガポール線を開設、沖縄からの就航都市は海外8地点、国内4地点の計12地点となった。
 県内の海運会社2社は台湾への航路を開設した。台湾や香港、中国などの海上ルートが安定すれば、輸出品目が広がり、製造業の成長を後押しするだろう。
 18年に県内で初開催される技能五輪全国大会は、県内企業の技術力向上のきっかけになることが期待される。産官学連携して技術者養成に取り組むべきだ。
 県内総生産に占める製造業の比率は5・2%(11年)で、基地収入の比率5・3%(10年)と同規模だ。たゆまぬ技術開発と品質管理、市場開拓によって県内総生産に占める比率を高めたい。