「再ブレーク盤」大竹しのぶ『歌心 恋心』


社会
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11人の男性とのデュエットで七変化
 大竹しのぶが11人の男性とデュエットしたカバー集。前年、泉谷しげるが女性とコラボした作品の男女逆転版だが、決して安直な企画ではない。

 全11曲、その人選もさることながら、大竹の七変化ぶりが凄い。例えば、甲本ヒロトとの『乙女のワルツ』では、2人で大きな口で真っすぐ歌ったり、斉藤和義との『キツネ狩りの歌』では、クスクスと女狐を演じたり、さらに松尾スズキとの『夜へ急ぐ人』では「おいで おいで」と壊れながら誘ったり、まさに怪優の名に相応しいパフォーマンスの連続。
 出色は、大竹が大ファンというRADWIMPSの野田洋次郎との『チューリップのアップリケ』か。貧乏ゆえに父が働きづめで、母も家を出た少女のやるせなさを2人が諦めがちに歌う。これは野田にとっても新境地だろう。
 他に、宇崎竜童との『面影平野』は6畳一間の雰囲気が半端なく、編曲の佐藤準の名腕も光る。本作を聞けば、自分の中の“炎”がたぎるのを意識するはず。
 (喝采・3700円+税)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)

歌心 恋心
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