息子が「どうぞ」を言えた日 100cmの視界から―あまはいくまはい―(56)

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沖縄都市モノレール「ゆいレール」が延長して、新しい駅ではホームと車両の間に段差、隙間がなくなりました。

これは画期的、革新的! 全国でもなかなかありません。

車いすが乗るためのスロープを準備する手間が省けるので、駅員にお願いする必要もなく、待ち時間がなくすぐに乗れて最高です!

子どもにも、足元がおぼつかない高齢者にも、スーツケースを持った旅行者にも便利で安全なことでしょう。全部の駅のホームがそうなってほしいですね。


先月沖縄で開催した出版記念イベント。古謝美佐子さんが歌ってくださいました

子連れの私が最近、電車に乗る時に悩んでいるのが、何歳になったら他の人に席を譲ることを、子どもに教えるかということ。

一番いい方法は、大人が、どうぞと席を譲る姿を見せることだと思うのですが、私は車いすなので、誰かに席を譲ることはできません。何歳になったら譲りましょう、と簡単に決められることではありません。

時には元気な大人だって疲れていて座りたい日もあるでしょう。また難しいのが「席をどうぞ」と譲った時に断られた経験をしてしまうと、次からはためらってしまいます。また携帯電話や友だちとのおしゃべりに夢中で、席が必要な人がいることに気づかないことだってあるでしょう。

人はいつでもお互いさま。

できる時に、できる人が、手を差し伸べ合える毎日を築いていきたいので、わが子には3歳くらいの時から「ここは優先席だから、必要な人が来たら譲ろうね」と話をしていました。そして先日、6歳になった息子と私が、少し離れて電車に乗っていた時、つえをついたおじいさんがやってきました。あっ、と私が言うと、息子が立って「どうぞ」と言いました。

おじいさんは「いいよ、いいよ」と言って少し離れた場所に立ったままでした。

電車を降りて、とてもかっこよかったこと、断られることもあるけどこれからも譲っていこう、そしてあなたも疲れていたり何か事情がある時は席に座ったままでいいからね、と話しました。

思いやりや、譲り合いにルールを決めることは難しいです。一見元気そうな人でも持病がある人もいるし、80歳を超えてもぴんぴん元気なレディーだっているでしょう。自分が休みたいのにもかかわらず無理して頑張っていると、休んでいる人を責めたくなることもあります。我慢をしたり、頑張り過ぎるのではなく、自分ができる時には譲り合いを。周りの人の声に、耳を傾ける心の余裕を持ち続けたいですね。声を掛けるのが恥ずかしい時は、友だちと一緒に「どうぞ」を始めてみませんか?



(次回は11月5日に掲載します)


伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2019年10月8日 琉球新報掲載)

 



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